ヴィンテージデニムの色落ちが味わい深い一つの理由とされてきたデニムの酸化。
レプリカとヴィンテージの大きな差として、時間の経過による生地やインディゴの変化があげられてきました。
古くではウエアハウスの酸化デニム。そして同じウエアハウスの現在のフラッグシップラインであるDSB(デッドストックブルー)を始め、大江洋服店のデニムも「タイムマシン」と名付けられたエイジングが施されています。
正直どちらのブランドも狙ったような効果は見られていないように感じ、「それならもっと酸化を加速させちゃえばいいんじゃない?」ということで、セルフで酸化を加速してみました。
酸化方法
単純に酸性の液体に漬け込めば同じことかなと思い、ビタミンCのパウダーを溶かして漬けることにしました。
これが自然な酸化(経年変化)とイコールの効果かどうかは定かではありませんが、理屈として遠い方法ではないと思います。
使ったのは市販のビタミンC(アスコルビン酸)で、特別なものではありません。
詳細
■漬け込み時間:10〜30分程度(6ヶ月の間に3回漬けたので、時間に差があり)
※ビタミンCにつけてそのまま乾燥させているので、濡れている間は漬け込みと同等の効果があると思います。
■濃度:バケツにぬるま湯を8リットル程度、ビタミンCのパウダーをコップ2杯ぐらい入れています
※もしやる場合、液体がヌルヌルになるので、床を何度か洗剤で洗わないと危険です(1度で落ちないです)
酸化中
試したデニムは(左上)フルカウント 1101S、(左下)ウエアハウスDSB 1915、(右上)ジェラード301XX、(右下)シュガーケーン1947になります。
写真は青みが強く出ていますが、インディゴが光に反射していて、ビタミンCを含んでいるので色が濃くなっている状態です。
(ビタミンCを落とすと色味は少し薄くなります)
ウエアハウス DSB(1915モデル)
ジェラード 301XX
酸化の影響を最も受けるのがリベット
ウエアハウスのリベットは特に錆がよく出ます。
トップボタンの錆が一番やばいかもしれないのですが、元々塩で錆を出していたのでビタミンCによる変化はあまり大きくないです。
ジェラードのリベットは色気が出ます。
トップボタンは控えめに錆が出ています。
DSBの生地感が良いですね。インディゴも少しくすんでいます。
シンチバックは事前の塩処理で錆が出きっています。錆が滴り落ちて生地に付着するのを期待していたのですが、難しいですね。
ヴィンテージとはいかないですが、古い年代の雰囲気がまずまず出ています。
洗濯後
洗濯
ビタミンCで生地がゴワゴワの状態なのでお湯で2回予洗いして洗濯をしましたが、ビタミンCが抜け切っていません。
前後比較について
本来、ビタミンCに漬ける前と洗濯後で色の比較をすべきなのですが、撮り忘れました。
ただビタミンC洗いで水に浸けて更に洗濯することになるので、そもそも単純な比較は難しいものになります。
酸化中との比較だと全く意味がないのですが・・・。酸化前と比べて少しインディゴの発色が悪くなり、少し色がくすんで彩度が落ちました。
リベットの錆もある程度落ちました。おそらくここから穿き続きると錆は完全に落ちると思います。
こちらも比較としては、、ですが、ウエアハウスと同様に色のトーンは落ました。
こちらもリベットの錆は結構落ちています。
感想と効果
効果のほどは私の記憶ベースになってしまいますが、インディゴの酸化(色の変化)は確かにありました。
ただ期待したほどの効果はなく、他人が見ても気づかないレベルだと思います。
これを続けてくと更に酸化は進むと思いますが、色の変化の最大値もありそうですし、色が変化したとしてもヴィンテージのリーバイスと同じ雰囲気にはならないでしょう。
これは色云々もありますが、生地の雰囲気が違いますからね。
インディゴの色味もリーバイスは彩度が低いので、ベースとなるデニムの違いを超えることはありません。
ただリベットの錆も洗えば取れて、レザー商品に使われるリベットやボタンのように腐食が進行することもなさそうなので、少しでもくすんだ色合いにしたい場合、やる価値はあると思います。
※ビタミンCの水は本当にヌルヌルで、一度掃除したレベルだと取れませんので、特にご家族でお住まいの方は十分気をつけてください。