聖林公司のブランドのひとつ、BLUE BLUE(ブルーブルー)の天然インディゴ(天然藍)ジーンズです。
このジーンズを買った1995年当時、聖林公司といえばハリウッドランチマーケット(ハリラン)、OKURA、ハイスタンダードなど、当時のアメカジ業界で一世を風靡していた会社ですね。
今はブームが落ち着いていますが、根強いファンを持つブランドを持つ会社です。
このジーンズはレプリカブームが本格化し始めた頃、何を血迷ったかリーバイスの次に僕が選んだ1本です。
当時はまだ高校2年生。ひねくれものだった僕は天然藍という響きに魅了され、28,000円という高額なジーンズを選んだしまいました。
それもこれもBOONに影響されただけなのですが。ダルチザンの徳島正藍染めのジーンズと同じ特集内でこのジーンズがピックアップされていました。
このジーンズはハリランから発売されていたPP4-XXをベースに、BLUE BLUEから発売されたものでした。
穿き込み期間
当時は根性穿きの全盛期。まだ林さんの名言「たかがジーパンや。洗わな綿糸がボンボン切れてしまうで(曖昧な記憶です)」もまだなかった頃です。
といっても、林さんの発言以降もみんな根性穿きしてましたが。。
話がそれました。題打ってなんですが、穿き込み期間は不明。当時高校生だったので、学校から帰ってきての数時間と、パジャマ代わりに穿いて寝てました。もちろん洗濯もしませんので、糸はボンボン切れてしまっています。
今から考えてもよくパジャマにできていたな(汗)10代のエネルギーは物凄いですね。一度オカンが勝手に洗濯してブチ切れて、それにオカンがブチ切れてみたいなの。あるあるですかね。
そんな感じで1年半ほど穿き、以降は18歳で買ったドゥニーム、19歳で買ったフルカウント、ドゥニームの10周年などとローテーションで穿いていました。
購入して10年ほどで、洗う度にどこかが破れるので穿かなくなりました。そこそこ穿いていますが、天然藍&枷染めなので白くはなっていません。
枷染め
一般的なデニムはロープ染めという染色方法を使っていて、要は糸の周囲をインディゴ染めし、糸の中が白い状態で染色されています。
枷染めは糸の芯まで染色する方法で、日本の伝統的な染色方法でもあります。
ロープ染めの場合、アタリが出るところほど早く色が落ち、染色されていない糸の色が出てきます。それによってできるのがヒゲやハチの巣といったジーンズ特有のグラデーションなのですが、枷染めの場合糸の中心まで染めてあるので、そのグラデーションのトーンの差があまり出ません。
染めてある色が薄くなり全体的に淡いグラデーションを作ります。
天然藍(天然インディゴ)染め
こちらも日本の伝統来な染色方法で、海外では(例えばリーバイス)ジーンズの染色に合成インディゴを使用しています。
これはビンテージと呼ばれる年代のジーンズも同じで、1800年代後半に合成インディゴが開発されて以来、1900年代初頭には、その生産性の高さから商業商品の多くは合成インディゴが使用されているといわれています。
天然インディゴ染めは合成インディゴに比べて色の定着率が悪く、染めの回数を増やす必要があります。もちろん自然植物を使用するので、原料の準備にも手間がかかります。
そういった理由から天然インディゴは一般的にあまり使われないのですが、その鮮やかな青さは独特の魅力を持っています。
このジーンズの染め
このジーンズの染めは、縦糸が天然インディゴ、横糸が草木・タンニン染め。天然インディゴ染めの鮮やかなブルーが出る商品を作りたいけど、色見が青いのでよりビンテージリーバイスようなの深い(濃い)色を実現させたい。でも合成インディゴを使いたくなくてこの染色方法を選んだのだと思います。
天然インディゴだけでも深い(濃い)色にはできるようですが、合成インディゴで作られるジーンズの染色回数は通常15回程度です。このジーンズの染色回数は分かりませんが、当時スタディオダルチザンが発売されていた徳島正藍38回染めで価格は38,000円。それでも合成インディゴのジーンズに比べると色見はかなり青かったので、鮮やかな天然インディゴの染色だけで色の濃い(黒っぽい)商品を作ろうと思うと、価格が高くなりすぎます。
恐らくそういった一般的な商品価格としての妥協点と、合成インディゴのような濃さを求めてこの染色方法に落ち着いたのかなと想像します。
ただ致命的な弱点もあって、ジーンズのように負荷がかかる服だと、いい感じに色落ちするまで生地が持たない。
染めを薄くするか、上品な洋服に使うか、極端にハードな環境で穿くか、洗いの回数をかなり増やすかしないと、色落ちが進んだいい感じの天然インディゴ+枷染めのジーンズは出来上がらないと思います。
生地
ハリランから発売されていたPP4-XXをベースにしているので、織りは同じだと思います。
凹凸感は控えめで、XXモデルというよりBIG Eや66ぐらいの感じでしょうか。ただ14.8オンスと結構ヘビーオンスです。
パーツ
ランチといえばこの赤耳。今となっては、なんか好きです。
トップのボタンはHR MARKETのオリジナルです。
リベットもオリジナル。20年以上経つので、ビンテージの面持ちですね。
どこのショップでリペアしたのか忘れてしまいましたが、独特です。
白くならない生地って、リペアするほどカッコよくなると思うのは僕だけですかね。
文字通りの赤耳。耳以上に、裏からみた生地のインディゴの色落ちが好きです。
横糸が飛び出しています。草木タンニン染めされているので、真っ白ではないです。
フルカウントの天然インディゴ染めのジーンズ「1105NA」もこうなっているのをよく見かけますが、天然インディゴのジーンズは破れやすいのでしょうか?
シルエットとサイズ感
174cm 65kgで未だに余裕があります。当時の腰穿きブームに漏れずビックサイズの33インチです。
腰周りが大きく、割とテーパードが効いています。
タックインには向いてないですね。タイト目の長袖のトップスとだと相性が良さそうです。
ヒップから上にかけて、生地のクタレ感がよく出ていていいですね。
感想
ある程度色が落ちてからは、レプリカジーンズというより、ひと味変わったジーンズとして穿いていましたが、改めて写真で見てみると独特のビンテージ感があるジーンズとしていいですね。
ただファッションとしては、雰囲気が柔らかいのにクタレ感があるので、合わせるアイテムに苦労しそうです。
もうちょっと歳を重ねたら、長襦袢と雪駄に合わせて、10年ぐらいかけて穿いてみたいです。